「マリー・アントワネット」
急に思い立って、映画を観てきました。
「マリー・アントワネット」はフランシス・コッポラの娘、ソフィア・コッポラの監督作品。
私より一つ年下の女性監督が、まったく新しい視点からマリーアントワネットをとらえ直していて、とても素敵でした。
映画は、パンクミュージックの流れるイントロダクションから始まります。タイトルもパンキッシュなロゴ、どこかで見たことある・・と思ったら、パンクバンド、セックスピストルズのロゴのパロディー。
衣装も美術も、デザインはクラシックだけど、カラーがパステル調で、とっても可愛い。その色調は、映画にもふんだんに出てくるスイーツから取って、マカロン・カラーと名づけられているそうな。
14歳でオーストリアからたった一人でフランスに嫁ぎ、両国の友好のシンボルである跡継ぎを産むことを故郷の母からせっつかれ、焦るけれども、肝心の夫は自分に見向きもしない。
そんな孤独を抱えて、ファッションやギャンブルに拠り所を求めるマリー。王室費はどんどん膨れ上がり、貧困にあえぐフランス国民はマリーを批判し、ついにバスチーユ牢獄が襲撃され、革命勃発の火種となる・・・
そんな事情は世界史の時間にも習っていたけれど、仕立て屋が次々に広げるカラフルな服地やリボン、箱からどんどん出てくるラブリーな靴(マロノ・ブラニクらしい)、エディブルフラワーで飾られた、なん皿ものスイーツ・・・。
女の子が大好きなもの達をふんだんに登場させたこの映画を観ていると、ダークカラーな世界史が、今起こってるスキャンダルと同じくらい身近に思えてきます。きっと当時のフランス市民にとって、マリーアントワネットは今でいうパリス・ヒルトンかブリトニー・スピアーズ・・・?という感じの、ゴシップの対象だったのでしょうね。
その一方で、夜中に宮殿を抜け出して、こっそり仮面舞踏会にでかけるマリー、誕生日に朝までパーティーして、明け方に仲間と一緒に池のほとりで朝日を見つめるマリーは、全く私たちの青春時代と重なって、そうそう、若い頃ってこうじゃないとね・・なんて思えてしまうのでした。
待望の赤ちゃんが生まれ、夫からプレゼントされたマリー専用の別荘、プチ・トリアノンは、ヴェルサイユの堅苦しさから逃れる場所。庭で娘と一緒に花をつんだり、ヒツジに餌をやったり、鶏がうんだ卵をひろったり。白いコットンの、カジュアルなドレス姿で戸外でくつろぐロハスな姿は、さながら「雅姫」のよう。
そう、もちろんインテリアも一見の価値ありです。あら、あのカーテンタッセル可愛いわ、とか、このベッドカバーはフィスバのに似てるとか、そんなことを思いながら見てました。
本物のヴェルサイユ宮殿でロケをしたそうですが、家具一切は持ち込み。太陽に当てると室内が劣化するためカーテンを開けられない部屋もあったそうです。現代風に彩られたこの映画が、全くままごとチックにならないのは、建築物のリアルさがなせるところなのでしょう。
キラキラとした普通の女の子の成長、女性の自立の物語としても見ごたえはあるし、衣装や美術、小道具、音楽が単なる引き立て役以上の役割を果たし、見事な世界を作っていました。
ぜひぜひ、観て下さいね!
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