明るいこと、暗いこと
長男の入学を機に、机を2台購入しました。リビングに隣接した和室に、無印良品のシンプルなデスクをカウンターのように並べて、家族で使えるスタディコーナーにしようと思っています。
この和室には、今まで100ワット電球のちいさなペンダント照明だけを使っていましたので、読書や勉強にはちょっと暗い。デスク用のスタンドを買ってこないといけないですね。さてどんなのにしようかな~?
空間の目的によって、必要な明るさや光の種類、光源の位置などは違ってきます。基本的に、日本人は明るいのが大好き。暗いと落ち着かない方も多いのではないでしょうか。
でも少し前まで、日本人はろうそくの明かりやガス灯、裸電球で暮らしていたんです。
その頃の方が、人々は光に対して敏感だったのでしょうね。。漆塗りや金箔細工などは、ろうそくだけのくらがりで見たときにこそ美しいように作られているのではないかと、谷崎潤一郎は「陰影礼賛」のなかで述べています。
さて、芸能ニュースでも大きく取り上げられていましたが、先月、歌舞伎のパリ・オペラ座公演が行われました。
市川団十郎さんによるその際の旅行記が、少し前の毎日新聞夕刊に掲載されていました。その中に、今回のパリ公演では、欧米人の光に対する敏感さと劇場内の雰囲気を考慮して、普段の照明よりも暗くし、電気のなかった明治時代の雰囲気に近づけたとありました。また、セットの書割も、照明が当たると陰影が出るように立体感のあるものにしたそうです。それでも、オペラ座の責任者・ルフェーブル女史からは明るすぎるという意見が出て、照明を更に暗くして初日を迎えました。それが功を奏して、幕が開くと同時に客席からはワ~ッとため息が漏れたとか。
電気は確かに明るく、コストも低くて効率的なのかもしれません。ただ、ひたすらに安くて効率的な明るさだけを追い求める事で、失う感性もあるように思うのです。
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