宮本輝「流転の海」
GWも最終日。今日はお天気ももう一つなので、我が家はみんな家でゆっくりしています。
明日からの日常に向けて肩慣らし、というところかな?
今年のGWも、まとまったお出かけはなかったのですが、前半は家の模様替え(スタディコーナー)をしたり、後半はわたしと夫、それぞれのファミリーと過ごしたりと、それなりに有意義でした。
わたし個人的には、そんな遊びや家事の合間を縫って(というかほとんど放棄して)読書に没頭していました。
久しぶりに読み返した宮本輝の「流転の海」が面白くて、勢いに乗って続編2冊も買ってきて、一気に読みふけってしまったのでした。
松坂熊吾という情愛の深い、その裏返しに自分勝手で気が短い、魅力的な事業家の男性を軸に、たくさんの登場人物とのかかわりが縦横無尽に描かれていて、興味が尽きる事がないのです。
戦後、ヤミ市が広がる大阪市内から物語がはじまります。戦争で失った会社を再興するために、50歳ではじめて授かった我が子を立派に育て上げるために、独特の人を見る目と時代を読む勘で、熊吾は様々な事業に手を染め、再び財を成します。
その一方で関わりあった人たちの面倒を見ずにはおけない彼の元には、彼を頼って様々な人が相談に訪れたり、反対に助けられたり・・・。
人間はただただ善良なだけでも、醜悪なだけでもなくて、業の深さも美しさも、全てが一人の人格の中にある。それを全て合わせ飲む熊吾は、それで失敗する事もあれば幸福の涙を流す事もある。そんな熊吾が58歳になり、病弱だった一人息子が小学校3年生になったところで分厚い3冊の本が終わりました。
この続きって、出ているんでしょうか?3冊目の「血脈の火」から、もう10年以上たっているみたいなんですが・・・。
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