正倉院展
先週、奈良へ、念願だった「正倉院展」に行って参りました。
色づき始めていた紅葉を楽しみながら奈良公園を抜けて、「奈良国立博物館」へ。混雑を避けて午後の遅めの時間に行ったのですが、それでもたくさんの人出で、しばらくは並んで入場待ちでした。
正倉院の宝物は、聖武天皇の崩御(756年)の際、光明皇后が、その遺品を東大寺に献納されたことに始まったといいますから、今から1200年も前の貴重な品々が、まさに目の前に披露されているという事です。
木や漆などで細工のされた工芸品、ろうけつ染めのタペストリー、中国から渡って来た織物、楽器、文具、東大寺で使われたという仏事具、衣服などの布製品、写経や罪人の刑量を知らせる雑書類など、いかにも天皇の傍に置かれたらしき豪奢なものから、一般人の暮らしぶりを伝えるような身近で質素なものまで、様々なものが展示されていました。
どれも、1200年もの時を経たとは思えないような新鮮さで、特に工芸品の驚くほどに細かい手作業、写経の緻密な筆跡には、圧倒されるものがありました。ガラスケースをのぞいていると、周りで見学してるたくさんの人のことを忘れてしまい、一瞬、自分とその展示物だけにスポットライトが当たっているような、天平の昔にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。その品物を真剣なまなざしで作っている職人さんの姿が、目の前に浮かんでくるような気がしました。
そんな調子でいるものですからあっという間に時が経ち、夕方近くになってしまって、慌てて大阪に戻ってきました。その日、もう少し後の時間には、秋篠宮様ご夫妻も見学されたと、翌日の新聞に写真が出ておりました。(すごいね、ご自分の祖先の持ち物なんだもの・・・)
これはわたしが一番気に入った、「紫檀木画箱(シタンモクガノハコ)」という品物。螺鈿細工のように見えますがそうではなくて、象牙、緑に染めた鹿角、ツゲなどをブロック状に組み合わせたものを1ミリほどにスライスして、紫檀の基箱にはめ込むという、手の込んだ技法で作られています。(もっとも、当初に作られた部分が残っているのはフタだけで、後は後世になって補填されたものであるとか。)
それでもこの細かく可憐な図案が、1000年以上前のものとは驚き。ちょっとルイヴィトンのトランクみたいに見えませんか・・・・?
(図録を写真に撮ったので、もしかしたら問題あるのかもしれませんが、どうしても紹介したくて載せてしまいました。公式HPには、これの写真は出てなかったので・・・。)
会期はもう終了しています。毎年ありますので、わたしは来年もぜひ行きたいと思っています。
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