宝物
「わたしはこの会社から買ってるんじゃない、この子から買ったんだから」
北摂地域の某マンションが完成間近となり、引渡し前の最終段階に入っています。わたしはそのマンションに、あるインテリア会社からの委託を受けて仕事をして来ました。
ここには去年の秋ごろからですから、もう1年ほど打合せを重ねて来たお客様、Hさまがいらっしゃいます。最上階の一番広い部屋を契約され、ご自分の好みに設計変更されて、住まいへの思い入れはたくさんお持ちの方でした。もちろん、お金もたくさんお持ちですが(笑)。少しからだの弱い奥様とお2人での引越しになります。
ちょっと手ごわいタイプの方で、何度も叱られました。プランも何度もやり直し。打合せの日程を決めるのにも、忙しいお仕事の合間を縫って、わたしの都合も聞いていただきながら、ああでもない、こうでもないとどうにか進めてきた、「手間のかかる」お客様でした。怒られて落ち込み、自分の未熟さを申し訳なくも思いながら、投げ出すわけにも行かずただ一生懸命にやってきたのみです。
でもこの最終段階になって、Hさんは全部わたしにゆだねて下さいました。建物の完成後に取り付けるオプション商品の事も、
「うちには、あとは何がいる?君が必要だと思うものを勧めてくれたら買うから」と言ってくださり、もちろんご自分でいらないと思うものは却下になりましたが、ほとんどの提案を受け入れてくださいました。
先日の内覧会が商品の最終決定の日だったのですが、お話が終わり、たくさんの伝票と金額を前にして、Hさんが委託元の営業さんとわたしを座らせて言って下さったのが、初めに書いた言葉です。
わたしのことを認めてくれてたんだ~・・と、ちょっと泣きそうになりました。
さらに続けて「家にも何度も来て、一生懸命にやったんやで、この子は」と営業さんにわたしの仕事ぶりをアピールしてくれたのです。あとでお礼を言うと、「まあ~あんたの顔を立てたか、つぶしたか、分からんけどな!」と、照れ笑いをされてましたが。
Hさんとの出会い、いただいた言葉はわたしの宝物です。ずっと大事に持っていたいと思います。もっとも施工はこれからなので、まだまだ気は抜けません。間違いなく工事が終わるまでが、わたしの仕事です。
これからも色んなお客様に出会い、色んなお仕事に出会うと思うのですが、わたしなりに、自分にできることは全て、一生懸命にやっていこう!と改めて思った、とても嬉しい言葉でした。
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コメント
すばらしいお話ですね。
私まで少し感動しました。
これからもがんばってください。
投稿: 小嶋@カーテン屋の奮闘記 | 2007年11月 8日 (木) 06時40分
コメント有難うございます^^
小嶋さまのブログ、ずいぶん前からリンクさせていただいてます、勝手に・・・(^^ゞ
今頃のごあいさつで申し訳ありません(^^ゞ
ICの立場とは全く違った視点からの考察いつもとても勉強になります。実験とか・・・ダジャレとか・・・?!
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: spiral | 2007年11月 9日 (金) 00時42分