感性豊かな大人に
「感性価値創造シンポジウム」というのに行って参りました。
「感性価値」と聞いただけではイミが全く分かりませんが、今後、日本が経済的に発展していくためには、これまでの商品の価値感、つまり「価格」「機能」「信頼性」だけではダメで、これからは第4の価値「感性価値」が必要になってくる、というお話でした。日本の伝統工芸を活かした商品や、大事にメンテナンスしながら長く使う事で愛着が湧いてくる商品、環境や次の世代に目を向けた商品をつくることが大切、という主旨だったと思います。
経済産業省が旗振りしていて詳しくはコチラ、なんですが、経産省の方を初め、未来の暮らしを研究している方、ユニバーサルデザインをキーワードに商品開発を手がける方、ハウスメーカーの設計室の偉い方、生物工学の研究者、はたまたウイスキーのチーフブレンダー、と色々な方が語る中で、わたしとしては、工業デザイナー喜多俊之先生の「暮らし直す」という言葉が、とても心に残っています。
うるし、寄木、有田焼など日本の伝統工芸を使った商品の紹介があり、それらが海外、ミラノなどでとても高い評価を得ていること。それらは自然素材を利用したもので、エコロジーであり、たっぷりとした時間と、人間とのつながりの中から生まれてきたと言う事。昔のハレの日(和服でお花見、料亭のお弁当)がなくなったり、行事で家に人を呼ばなくなったことが、伝統工芸の衰退にもつながっていると言う事。・・・普段の生活を見直して、昔みたいに丁寧に、もう1回暮しなおしてみましょ、というお話でした。
本当にそうだ、絶対にそうして行かないと、これからもっともっと味気ないおかしな社会になって行っちゃう、と思います。でも現実は難しい。どうしたら、今の生活をしながら、たっぷりとした時間や自然に包まれて、人としての本当の豊かさを取り戻せるのかしら・・・?と思ったとき、やっぱり働く人、お父さん、お母さんが早く家に帰って、ゆっくり語らい、食事をし、趣味を楽しむ。そんな生活があれば、と思うのです。
先ほどリンクを貼った経産省の資料にも出ていましたが、インテリアや家具にこだわりたいと思う人は、ここ10年でかなり減少しているらしいです。お金をかければいいというものではなく、暮らしを楽しむ余裕、というのが人生を意味あるものにしてくれると思っています。働く人、ものづくりをする人だって、家に帰れば消費者であり、生活者ですから、みんなが感性を高めないと、そういうオトナの消費はのびないのではないでしょうか。
週に5日か6日、9時から5時まで一生懸命働けば、家族が暮せる程度の収入が得られる。それが当たり前の社会になればいいんですけどね・・・。
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