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2008年8月 4日 (月)

アートVSインテリア

先日、大阪市内の某ホテルでのアートイベントに行ってきました。
大阪の都心、規模はそう大きくはないけれど、数年前に改装された、老舗のホテル。
シティホテルは、インテリアフリークには究極のくつろぎと非日常を与える、聖地と言える場所ですが、
そのイベントは何と、そのホテルを4フロア貸し切って、客室内に現代アートを展示するというものでした。
落ち着いた正統派なイメージが、逆に新しさを感じさせるそのホテル、
わたしは前を通りかかるたびにうっとりとしつつも、客室は、雑誌やインターネットでしか見た事がなかったのです。

しかしこのイベントに行けば、中を見られる♪

と、言うわけで出かけました。
モダンアートを積極的に取り入れているインテリアコーディネーターさんのセミナーもあり、
それも楽しみにして出かけました。

まずはセミナーを聴講。進行役のキュレーターさんとの、対談方式に近い形で進みました。
普段、モダンアートを観る機会と言うのは、美術館やギャラリーと言う非日常の場所。
そこでの展示は、いかにその作品を目立たせるか、作品の主張を伝えるかというところに力点が置かれています。
が、ICさんはアートをいかに日常空間に溶け込ませるか、という視点で仕事をしています。カーテンや照明との調和が第一になってくるのですね。
その辺りの違いが興味深かったのと、「アートと言うのは非常にメンタルなものである」という言葉が印象的でした。
作家の、深いメンタリティーから生まれた作品が、常に家にある、ということが、インテリア、そしてそこに住む人に、とても強い影響がある。
そしてアートと言うのは、言わば「役に立たないもの」。そういうものを目にしながら住まう、または子どもがそういう空間で育つ、ということは、
経済性だけでない、多様な価値観があると言う事を伝えることになる、という話も、良かったです。

そのセミナーの後、いよいよ客室での展示を見ました。
が・・・
先ほども書きましたが、ホテルと言うのは非常に完成された、計算された空間。
そして、そこに今回作品を並べるギャラリーの思考回路は、「作品第一」。作品をいかに見せるかという観点での展示です。

その、せめぎ合いと言うのでしょうか・・・
アートよりもインテリアへの興味が強いわたしは
「ちょっと・・・」としばし絶句するような気分に。
部屋によっては、あまりの傍若無人ぶりに「これはインテリアへの冒涜だ!」に近い気分になってしまったり。

だってベッドの上にべったりと何枚もの絵を並べたり
バスルームのガラスに落書き(いや、作品)が描かれていたり

これって、ホテルはよく許したね・・・ノーチェックなのかな・・・とか、
ここを手掛けたインテリアデザイナーは、これを見たら、きっと倒れるね・・・とか

そんな事を思っていました。
もちろん、ギャラリー側の人に言わせれば、ホテルの部屋なんか展示しにくい!って思われたでしょうね。

一般の人には、きっと面白くていい企画だったと思うのですが。

ただ、最後の方に見た部屋は、東京のギャラリーの展示室でしたが、
そこだけは、上手に展示していると感じました。
他と一番違っていたのは、部屋の照明をすべて青白い蛍光灯に付け替えて、モダンでポップな空間イメージに替えていたんですね。

それだけでも、かなり違うのだと実感しました。

色々と、考えさせられたお出かけでした。

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